育児休業給付金は、原則として会社を経由して申請しますが、本人が希望すれば本人による申請も可能です。会社の担当者は、本人からの資料回収、勤怠・給与の確定、申請、結果の確認までを管理します。この記事では、通常の育児休業給付金の初回申請を中心に、準備するものと進め方を整理します。[1]

会社と従業員で準備するものを分ける
申請先は事業所所在地を管轄するハローワークで、給付を受け取るのは従業員本人です。会社が申請する場合は、次のように役割を分けましょう。[1]
- 会社が作成する書類:雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書、育児休業給付受給資格確認票・初回の支給申請書。賃金月額証明書は提出済みの場合などには不要です。
- 会社が準備する確認資料:賃金台帳、出勤簿・タイムカード、育児休業申出書など、休業日と給与を確認できる資料。
- 本人へ依頼する資料:母子健康手帳の該当ページなど、育児の事実や出産予定日・出生日を確認できる資料。新たな振込口座の登録や出生後休業支援給付金の併せ申請では、追加資料が必要になる場合があります。
初回申請の期限と、社内の締切を決める
受給資格確認と初回の支給申請を同時に行う場合の提出期限は、育児休業開始日から4か月を経過する日の属する月の末日です。2回目以降は、ハローワークが指定する申請期間を確認します。[1]
初回は原則として2つの支給単位期間をまとめて申請しますが、本人が希望すれば1つの支給単位期間での申請も可能です。対象期間の勤怠・給与を確定できる日から逆算して、社内の資料締切と申請予定日を決めます。[2]
期限を過ぎたことに気づいても、独断で申請を諦めず、速やかに管轄ハローワークへ相談してください。
資料回収から本人への連絡までの確認リスト
各項目に担当者と予定日・完了日を記録すると、給与担当者と申請担当者の間で状況を共有できます。
- □ 休業の種類・開始日・終了予定日と、申請担当者を確認する。
- □ 本人へ必要なページ・項目を指定して資料を依頼し、不足を確認する。
- □ 勤怠・給与を確定し、休業中の手当も含めて申請内容と照合する。
- □ 申請後に受付状況と、不備・追加資料の有無を確認する。
- □ 申請状況・決定通知を本人へ伝え、次回の申請期間を記録する。
従業員への説明で、約束しない方がよいこと
給付金は給与と同じ日に入金されるものではありません。本人には社内の資料締切、申請予定日、提出済みかどうかを伝え、確定していない入金日を約束しないようにします。
育休を取得できることと給付の受給資格は別の判定です。雇用保険の加入実績、休業中の就業・賃金などを確認し、転職直後や有期雇用だからと会社だけで対象外と決めないでください。
給付額は原則、休業開始時賃金日額×支給日数×67%で、育児休業開始から181日目以降は50%です。出生時育児休業給付金の支給日数は、67%が適用される180日に通算されます。支給上限があり、休業中の賃金により減額・不支給となる場合もあります。[2]
産後パパ育休・上乗せ給付は対象を分けて確認する
産後パパ育休を対象とする出生時育児休業給付金は、通常の育児休業給付金と申請時期が異なります。2026年8月1日以後に開始する出生時育児休業では、申告賃金の取扱いも見直されています。前年の申請内容を写さず、休業の種類・開始日・給与資料を照合してください。[2][4]
2025年4月開始の出生後休業支援給付金は、一定の条件で13%を最大28日間上乗せする制度です。本人・配偶者の休業取得等を確認しますが、配偶者が無業者、自営業者、産後休業中などの場合は、配偶者の育休取得を要件としない取扱いがあります。「手取り10割相当」は、育休期間すべての従前の手取り額を保証する意味ではありません。[2][3]
保険料免除と給付延長は、別の手続きとして管理する
給付金の申請だけでは、健康保険・厚生年金保険料の免除は完了しません。会社が提出する育児休業等取得者申出書を別に管理します。月額保険料は月末を含む休業等のほか、開始日と終了日の翌日が同じ月にある場合も、その月の育休等が14日以上なら免除対象です。一方、賞与は賞与月末を含む連続1か月超の育休等が必要で、「14日休めば賞与も免除」とは判断できません。[5][6]
保育所に入れないことによる給付延長は、2025年4月から、速やかな職場復帰のための申込みかも確認されます。入所保留通知だけでなく、延長事由認定申告書と保育所等の利用申込書の写しも必要です。本人には、自治体へ提出する申込書の控えを残すよう早めに案内します。[7]
確認と相談の進め方
初めて育休取得者が出る、給与担当と申請担当の連携に不安がある場合は、当事務所の業務内容をご確認のうえ、ご相談・事前ヒアリングをご利用ください。休業予定、給与の締日・支払日、準備済みの資料を整理すると、必要な確認を進めやすくなります。個別の受給資格・支給可否は、管轄ハローワークで確認できます。
この記事の対象と確認日
制度確認日:2026年10月22日。本記事は一般的な制度・実務の説明です。休業の種類、雇用保険の加入状況、就業・賃金の状況などにより取扱いは異なります。
参考にした公式資料