入社の保険手続きは、従業員から必要情報を集め、会社が加入対象を確認して届出を行います。「本人に何を頼むか」と「会社が何を提出するか」を分けると、書類待ちによる遅れを防ぎやすくなります。ここでは、すでに保険の適用手続きを済ませた会社の人事・総務担当者に向けて、確認する順番を整理します。

まず確認する届出名・提出先・期限
採用が決まった段階で、次の2件を別々に管理表へ記録しましょう。初めて従業員を雇う場合や新しい事業所を設ける場合は、事業所自体の届出も別に確認が必要です。
- 健康保険・厚生年金保険:被保険者資格取得届。原則、事実発生から5日以内に日本年金機構へ提出します。協会けんぽ加入事業所の届出先は年金事務所・事務センターが基本です。健康保険組合加入の場合は組合側の手続きも確認します。[1]
- 雇用保険:雇用保険被保険者資格取得届。被保険者となった日の属する月の翌月10日までに、事業所を管轄するハローワークへ提出します。[2]
従業員から集める情報と、会社で確認する資料
労働条件通知書・雇用契約書で、入社日、契約期間と更新の有無、所定労働時間・日数、賃金を確認します。そのうえで、本人には次の情報を依頼します。
- 氏名・住所・生年月日などの基本情報。
- 社会保険はマイナンバーまたは基礎年金番号。雇用保険はマイナンバーと、加入歴があれば雇用保険被保険者番号。
- 扶養する家族がいる場合は、続柄・生年月日・収入など、被扶養者認定に必要な情報。
回収した資料を、すべて役所へ添付するわけではない
社会保険の資格取得届は原則として添付書類不要ですが、再雇用などでは追加資料が必要です。雇用保険も、初めての届出や期限後の提出などでは、雇用契約書、出勤簿、賃金台帳等による確認が必要になります。[1][3]
社内では資料ごとに「依頼済み・受領済み・要確認」を記録すると、不足を追いやすくなります。番号や家族情報は担当者を限定した会社所定の方法で受け取り、誰でも見られる共有表や通常の問い合わせフォームに記入させないようにしましょう。
パート・試用期間・扶養希望でも加入対象を確認する
社会保険は、通常の労働者と比べて週の所定労働時間と月の所定労働日数がいずれも4分の3以上なら、原則として加入対象です。4分の3に満たなくても、特定適用事業所などでは、週20時間以上、2か月を超える雇用見込み、学生ではないなどの条件を満たす短時間労働者が対象になります。休学中・夜間課程など、学生でも対象になる例外があります。[1][4]
2026年10月1日から、短時間労働者の所定内賃金「月額8.8万円以上」という要件は撤廃されています。最低賃金の減額特例許可の対象者には特別な取扱いがあります。[5]
2026年10月時点の特定適用事業所の規模要件は原則51人以上です。在籍者全員の単純な人数ではなく、短時間労働者を除く厚生年金保険の被保険者数などで判定し、法人では同じ法人番号の事業所を合算します。36〜50人の企業等への拡大は2027年10月からです。[4][6]
雇用保険の基本条件は週20時間以上・31日以上の雇用見込みで、昼間学生は原則対象外ですが例外があります。社会保険の「2か月超」と混同しないようにします。[2][7]
試用期間中でも加入要件を満たす場合は、その時点から加入を確認します。本人が家族の扶養に残ることを希望しても、勤務先で加入要件を満たせば加入しない選択はできません。健康保険の扶養と税法上の扶養も分けて説明しましょう。[4][8]
届出後は受付結果と本人への案内まで確認する
電子申請を送信しただけで完了にせず、次の項目を確認します。2026年の入社案内では「健康保険証が届く」と一律に説明せず、マイナ保険証の資格情報への反映や、必要な人への資格確認書の交付について保険者の案内を確認します。[1]
- □ 加入判定と資格取得日を確認した。
- □ 提出日・担当者を記録し、受付結果と返戻の有無を確認した。
- □ 交付された通知の内容を確認し、本人へ案内した。
- □ 入社直後の受診予定がある場合の連絡先を本人に伝えた。
確認と相談の進め方
採用のたびに加入判定で迷う、書類回収と届出の担当が分かれていて期限を追いにくい場合は、入退社手続き・労務相談のサービスをご確認ください。相談時には、採用予定日、雇用形態、所定労働時間、現在困っている作業を整理しておくと、確認したい点が明確になります。
この記事の対象と確認日
制度確認日:2026年10月22日。本記事は一般的な制度・実務の説明です。事業所の適用状況、年齢、雇用形態、加入する健康保険などにより取扱いは異なります。
参考にした公式資料