退職時の保険手続きでは、会社が行う資格喪失の届出と、本人が行う退職後の加入先の切替えを分けて管理します。最初に退職日と加入状況を確定し、届出期限、書類の交付予定、担当者を記録しましょう。この記事は、主に協会けんぽ・厚生年金保険・雇用保険に加入する一般の従業員の退職を対象としています。

社会保険と雇用保険の期限は別々に記録する
有給休暇の消化などにより、最終出勤日と退職日が違う場合があります。届出では、本人と確認した退職日を基準にします。
- 健康保険・厚生年金保険:通常の退職の資格喪失日は退職日の翌日です。資格喪失届は事実発生から5日以内に事務センター・管轄年金事務所へ提出します。健康保険組合加入の場合は組合側の手続きも確認します。[1]
- 雇用保険:資格喪失届は、被保険者でなくなった事実があった日の翌日から起算して10日以内に、事業所を管轄するハローワークへ提出します。通常の退職では退職日の翌々日から数えます。[2]
離職証明書を作成する前に確認すること
退職理由、勤怠、賃金台帳、離職票の要否、退職後の連絡先を確認します。離職証明書は原則として資格喪失届と一緒に提出します。本人が離職票を不要とする場合の取扱いはありますが、離職時に59歳以上の人は希望にかかわらず提出が必要です。会社が受給資格を推測して、一律に作成しない運用は避けてください。[3]
会社が作成する「離職証明書」と、ハローワークが交付する「離職票」は別の書類です。10日以内という期限は会社の届出に関するもので、本人へ必ず10日以内に離職票が届くという意味ではありません。申請状況と書類を渡した日を分けて記録します。[2]
会社側の進行管理に使うチェックリスト
これは社内用の確認表で、行政への届出書の代わりではありません。各項目に「担当者/締切/提出日・実施日/受付結果/本人への案内日」を記録してください。
記録欄:担当者____/締切__年__月__日/提出・実施日__年__月__日/受付結果____/本人への案内日__年__月__日
- □ 退職日・最終出勤日・退職理由・保険の加入状況を確認した。
- □ 社会保険の資格喪失日と、2つの保険の届出期限を記録した。
- □ 離職票の要否を確認し、離職証明書の作成に必要な勤怠・給与資料をそろえた。
- □ 本人分・被扶養者分の、返納が必要な資格確認書を確認した。
- □ 届出後の受付結果と返戻・修正依頼の有無を確認した。
- □ 本人に渡す書類、交付予定日、送付先を確認した。
- □ 最終給与・保険料控除・住民税の扱いを給与担当者と確認した。
- □ 本人が行う健康保険・年金等の手続きの確認先を案内した。
回収する書類と、本人へ渡す書類を整理する
協会けんぽの有効期限内の資格確認書など、返納対象が交付されていれば、本人分・被扶養者分を回収し、資格喪失届に添付します。マイナンバーカード自体や「資格情報のお知らせ」、期限切れの資格確認書は返却不要です。退職後は従前の加入資格で受診できないことも伝えます。[4][5]
本人へは離職票のほか、切替先で必要となる健康保険の資格喪失を確認できる書類について案内します。給与所得の源泉徴収票は、年の途中で退職した人には退職後1か月以内の交付が必要です。税関係は給与担当者や税務の専門家と連携し、交付予定を伝えましょう。[6]
退職者本人へ、次の加入先と確認窓口を案内する
次の勤務先の健康保険へすぐに加入しない場合は、任意継続・国民健康保険・家族の健康保険の被扶養者が主な選択肢です。会社が一律に決めず、本人が条件と保険料を比較できるよう案内します。
- 協会けんぽの任意継続:退職日まで継続して2か月以上の被保険者期間があることなどが条件です。申出は退職日の翌日から20日以内で、郵送は期限内必着。20日目が土日・祝日の場合は翌営業日の取扱いがあります。[7]
- 国民健康保険:被保険者となってから14日以内の届出が必要です。住所地の市区町村で、必要書類と保険料を確認します。[8]
- 家族の健康保険の被扶養者:家族の勤務先・保険者に認定条件を確認します。[7]
健康保険の案内だけで、退職後の手続きは完了しない
20歳以上60歳未満で、退職後に厚生年金へ加入せず、配偶者に扶養される国民年金第3号にも該当しない期間は、第1号への切替えが必要です。健康保険を任意継続にしても厚生年金まで継続するわけではありません。[9]
雇用保険の基本手当は、働く意思・能力があり、求職しても就職できない人のための制度です。病気などですぐ働けない場合は、受給期間延長等の相談が必要になることがあります。「退職すればすぐ支給される」とは案内せず、本人の住所地を管轄するハローワークへつなぎます。[10]
確認と相談の進め方
退職のたびに期限を調べ直している、離職証明書の準備や本人への書類交付が遅れがちな場合は、入退社手続き・労務相談のサービスをご確認ください。退職日、保険の加入状況、準備済みの資料、社内の担当分担を整理すると、どの段階の支援が必要かを相談しやすくなります。
この記事の対象と確認日
制度確認日:2026年10月22日。本記事は社会保険・雇用保険を中心とする一般的な説明で、退職事務全般を網羅するものではありません。定年後の継続再雇用、死亡退職、海外転出などは別の確認が必要です。個別の加入・給付の判断は保険者・自治体・ハローワークでご確認ください。
参考にした公式資料