年末調整の書類は、全員から同じものを集めるわけではありません。まず対象者を確認し、基本の申告書と、保険料控除・前職給与・住宅ローン控除などに応じた書類を分けましょう。この記事では、総務・給与担当者が回収漏れを防ぐための確認項目と、給与計算へ引き継ぐ手順を整理します。

従業員ごとの書類回収チェックリスト
年末調整の対象者一覧を作り、次の各項目を「不要・依頼済み・受領済み・要確認」で管理します。受領しただけで確認済みにせず、不足事項と再提出予定日も記録してください。
- □ 当年分の扶養控除等申告書:提出状況と、家族・所得見込みなど年内の変更を確認した。
- □ 基礎控除等の兼用申告書:基礎控除・配偶者控除等・特定親族特別控除・所得金額調整控除のうち、該当する欄の申告を確認した。
- □ 保険料控除を申告する人:申告書と必要な証明書を確認した。給与から控除済みの社会保険料との重複に注意する。
- □ 中途入社者:年内の前職給与の有無を確認し、合算が必要な場合は前職の源泉徴収票を受け取った。
- □ 住宅ローン控除を申告する人:適用年と、申告書・証明書の方式を確認した。
- □ 翌年分の扶養控除等申告書も集める場合:2026年分と2027年分を分けて管理した。
- 社内提出期限:__年__月__日/再提出期限:__年__月__日/確認担当者:____
対象者と申告内容を担当者の推測で決めない
基本となる対象者は、自社に扶養控除等申告書を提出し、年末まで勤務する人などです。パート・アルバイトも対象になり得ます。一方、年間の主たる給与収入が2,000万円を超える人や、他社に扶養控除等申告書を提出している人などは原則として対象外です。退職者・非居住者は別の取扱いもあるため、国税庁の資料で確認します。
給与の「収入」と「所得」は異なります。本人や家族の所得見込み、他社給与の有無を会社が推測して埋めず、本人に確認してもらいましょう。証明書は紙・電子のどの形式を受け付けるか、提出案内に明記します。
前職の源泉徴収票と住宅ローンの書類は早めに確認
前職の源泉徴収票が必要なのに届いていない場合は、本人に入手状況を確認します。給与明細や記憶だけで前職分の処理を進めないようにしてください。
住宅ローン控除は、初めて適用を受ける年は原則として確定申告が必要です。2年目以降の年末調整では、住宅借入金等特別控除申告書などを確認します。「証明書方式」と「調書方式」では必要な証明書が異なるため、全員に金融機関の年末残高等証明書を一律に求めない案内にします。
2026年分は前年の案内・計算表をそのまま使わない
令和8年度税制改正による基礎控除等の変更は、原則として2026年12月1日施行で、2026年分以後の所得税に適用されます。2026年10月時点では、これから行う12月の年末調整に向けた準備事項です。
基礎控除、給与所得控除、扶養親族等の所得要件、23歳未満の扶養親族を有する場合の生命保険料控除の特例を確認し、給与システムの対応状況も点検します。一般的な扶養親族の所得要件は合計所得金額62万円以下になりますが、年齢や生計関係などの条件もあり、年収だけでは判定できません。
回収締切は給与計算日から逆算する
年末調整は原則としてその年最後の給与の支払い時に行います。全国共通の回収締切が「11月末」と決まっているわけではありません。給与担当者と処理日程を合わせ、不備確認・差し戻し・再提出の時間を確保します。
提出が遅れた場合も、すぐに「もう対応できない」と断定せず、計算の進捗と不足事項を整理しましょう。再調整ができるか、本人の確定申告が必要かは、税務署または税理士に確認します。回収管理表と個別の申告内容の保管場所を分け、閲覧する担当者を限定することも大切です。
確認と相談の進め方
まずは上のチェックリストに、対象者・社内締切・担当者を記入しましょう。国税庁の年末調整チェック表も使い、社内の回収作業と税務署・税理士へ確認する事項を分けて進めてください。
この記事の対象と確認日
制度確認日:2026年10月22日。本記事は一般的な制度・書類回収実務の説明です。社労士・FP資格だけで税務代理、税務書類の作成、個別の税務相談を業として行えるわけではありません。個別の控除判定・税額計算・申告は、税務署または税理士にご確認ください。
参考にした公式資料